深谷里奈のエコヂカラ!【第27回】緑いっぱいの店の熱いこだわり

濃い緑がいっそう勢いを増す季節。母も祖母も植物を育てるのが好きで、実家では春はサツキ、冬はシンビジュームが華やかに咲いていました。しかし、グリーンハンドとはほど遠い私の手。つい水をやりすぎて枯らしてしまうことが多かったのです。

でも今、わが家のベランダの手すりには、藤のツルがこれでもかと伸び、部屋の中には大きなパキラが葉っぱを広げています。このパキラはどんどん新しい葉が出てこんもりと育ち、ソファに横たわると、まるで大きな木の下にいるかのような気分を味わえるまで大きくなりました。

枯らす専門の私を生まれ変わらせてくれたのは、東山の植物の店「スゥルギ」さん。友人に誘われて、クリスマスリースづくりのワークショップに参加したのをきっかけに知ったのですが、お店の中が大きなグリーンでいっぱい! ちょっとした植物園みたいです。

「スゥルギ」のオーナーの1人、中島弘之さん。「時間のないお客さんには長い説明はしません(笑)」。でも、熱い人です!

オーナーは東京の花屋さんで働いていた片桐恵美子さんと中島弘之さんの2人。部屋に花や植物を取り込んでほしい、そのきっかけとなるお店にしたいと2011年にオープン。店名はフランス語で「ヤドリギの下で」を意味する「SOUS LE GUI」にちなんでいます。

ポイントは変化のある花。ふと横を通ると、香りがほのかに漂ってきたり、夜つぼみだったものが翌朝ぱあっと開いていたり、定番のバラもこれから開く状態のものだったり。「置いてあるんだけれど、動きのあるもの。植物も生きているんだと感じることのできる花」を毎朝、市場での出合いでセレクトしているそうです。そんな話を聞くと、花の変化を見つけようと、つい見ちゃいますよね? 私がまさにその“スゥルギマジック”にはまった一人。大きな観葉植物を置きたくて相談して、葉っぱの形でパキラに決めました。

私、買い物は早いほうでまったく迷わずに決めるんですが、今回は購入まで約1時間かかりました。迷ったんじゃないです。中島さんの説明が熱かったんです!(笑) 要約すると、置くんじゃなくて、見る。葉はもちろん、土を見る。さらに土の中を見る。中まで乾いていたら水をたっぷり。葉っぱにほこりが乗っていたらふく。霧吹きで水をやる…。

「パキラが育った環境にしてやれば大きくなります」と中島さん。でも、パキラの原産地って、南米のコスタリカ? うち名古屋ですけど…。枯らしたら中島さんが泣いちゃうかも…などと思っていると、「枯らすのも経験なので、またチャレンジしてもらえればいいですよ」と優しく反応してくれ、私の心は決まりました。

しゃべれない相手だからこそ「見る」ことが大切。部屋の中に緑があるだけでみずみずしい気持ちになるから不思議です。植物と一緒に生活する楽しみを、ぜひ!

スゥルギは千種区新池町2−8、エスポア東山管理棟1階。営業時間は11:00〜19:00(土日祝は18:00まで)、木曜休み。問い合わせは電話(TEL 052-753-5748)またはメール(info@souslegui.jp)で。

わが家ですくすくと育っているパキラ

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fukaya_profileふかや・りな 岐阜県多治見市出身、名古屋芸術大学声楽科卒業後、1996年から東海ラジオアナウンサーなど。毎週月〜金16:00〜17:45に「山浦・深谷のヨヂカラ!」を担当。本コラムをラジオでお届けするコーナー「エコヂカラ」は6月28日(水)17:17ごろからの予定!