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深谷里奈のエコヂカラ!【第31回】自然の芸術、人という自然

私の生まれ育った岐阜県多治見市は美濃焼が地場産業。小学校の通学路には陶器工場があり、つくりかけの白い器を見ながら通っていました。子どものころは興味を持てなかったのに、年を重ねていくと自分で作陶する楽しみを知り、日々の器もちょっといいものをそろえる喜びを知る…大人になったもんです。(笑)

その多治見市で「国際陶磁器フェスティバル美濃’17」が開催中です。1986年から3年ごとに開催されている陶磁器の祭典。世界的に知られるコンペティション「国際陶磁器展美濃」を中心に数々の展覧会やイベントが開かれます。その会場で2011年から、陶磁器の産地で生きる障害のある人約60人が制作した陶磁器をはじめ、絵や刺しゅう、織物などの作品が並ぶ「アール・ブリュット美濃展」が同時開催されているのをご存知でしょうか。

アール・ブリュットとはフランス語で「生の芸術」。日本では障害者アートという意味で使われることが多いですが、本来は作品に純粋な衝動を感じる作品のこと。今回は3月から多治見市の脇之島小学校と土岐市の障害者支援施設「はなの木苑」を会場に作品が制作されていて、取材に伺った私はまさにその「衝動」を目の当たりにしました。

この日は、はなの木苑の入所者やその他の参加者約30人が集まり、作品づくりを進めていました。月に1回は造形活動をしているそうで、皆さん慣れた手つきで陶器の色付けや大きな絵を描いています。その目線と手元にちゅうちょがない! 内部から湧き出てくるものをどんどん作品にしていく様子に圧倒されました。

「たたく」画材で鮮やかな作品をつくる岩元彩那さん

美濃加茂市から参加した岩元彩那さんは「たたく」動作が好きで、割りばしに毛糸を巻きつけたオリジナルの画材を使って鮮やかな絵を描いていました。そばにいたお母さんは「家でもリズムを取っているので、この動作が好きみたいです」と、新しい楽しみを見つけた彩那さんを見守っていました。

展覧会をサポートするのはボランティアスタッフの皆さん。施設職員の服部さんや、障害のあるお子さんを持つ向井さん、陶芸家の中村さん他、多治見市陶磁器意匠研究所の生徒さんらがサポートしています。中村さんは土岐市で工房「南風(はえ)」を構え、「崇心(たかし)」として作家活動をしています。20年ほど前から子ども向けの教室を開催。学校や障害者施設での指導を頼まれるようになり、今回も制作のサポートをしています。

日常生活の中では気づかない、その人の持つ「何か」。「作り出したいという何か、があるんです!」と中村さんは言います。障害のある人たちは言葉では表現できなかったり、できることがそれぞれ違ったりします。中村さんたちは用意したものを強制するのではなく、その人をとにかく観察して、内側にある何かを見つけていくのが役目だそうです。自分の内側にある何か。私にはあるのかな?と、自分の内面を見つめ直した時間でした。

国際陶磁器フェスティバルに合わせて開かれた「アール・ブリュット美濃展」

陶芸という「自然の芸術」と、人間の「自然な表現」との共演。「アール・ブリュット美濃展」は多治見市の「セラミックパークMINO」で10月22日まで。陶磁器フェスティバルの作品と合わせて、ぜひご覧ください。
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fukaya_profileふかや・りな 岐阜県多治見市出身、名古屋芸術大学声楽科卒業後、1996年から東海ラジオアナウンサーなど。毎週月〜金16:00〜17:45に「山浦・深谷のヨヂカラ!」を担当。本コラムをラジオでお届けするコーナー「エコヂカラ」は11月1日(水)17:17ごろからの予定!

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