【第1回】母の鳥そぼろご飯
幼稚園に上がったころ。夕食の食材を買った帰り道、商店街の近くにある大きな橋には、信号がかかっていなかった。
母と姉、そして私は車に気をつけながら急いで渡る、と母が尋ねた。
「ごはん何が食べたい?」
数日後に控えた私の誕生日に、好物を作ってあげようと思ったのだろう。
私は、「お肉ご飯」と答えた。
近くで聞いていた姉は、
「お誕生日だよ? ハンバーグとか、もっとすごいものを頼んでいいのよ?」と慌てて教えてくれた。
母も、「遠慮しないでいいのよ」と言った。
でも、私は母の作るご飯の中で、肉ご飯が一番好きだった。
数日後の誕生日、母はごちそうとともに肉ご飯を並べてくれた。
【鳥そぼろご飯 レシピ2人前】
★鶏ひき肉・・・160g
★みりん、しょうゆ、砂糖・・・大さじ2杯
★卵・・・1個
★菜花など・・・2房
★ご飯・・・どんぶり2杯
① 鍋に鶏ひき肉を入れ、さいばしでほぐしながら中火で5分ほどいります。
② 調味料を入れ、さらに5分ほどいります。しばらく味がなじむよう、やすませます。
③ テフロンのフライパンに油をひき、卵をいります。
④ ご飯を平らに入れ、肉と卵を均一に敷き、茹でた菜花を盛ります。
◇ ◇ ◇
生き物から命をいただく感謝の気持ち「いただきます」。
大切な人をもてなすために奔走してくれたお礼の心「ごちそうさま」。
日本人が大切に伝えてきた美しい言葉です。
大切な命と心づくしをいただくのだから、きちんと食に向きあいたい。
ゆるやかに、身近なところから環境と食文化を伝えるコラムです。
河野香織(かわの・かおり)
国際自然保護連合日本委員会・想いでつなごう!おりがみアクション事務局
日本の伝統文化「おりがみ」を通じ、「愛知ターゲット」と「生物多様性」の大切さを伝え、子どもたちに環境について考えるきっかけづくりをしています。