【第3回】おばあちゃんの焼き芋
幼いころの私は、すぐ癇癪(かんしゃく)を起こした。
感受性が強すぎて、ちょっとしたことも気になってしまう。
その気持ちを相手にうまく伝えることができないから、がまんをする。
でも、ちっちゃな堪忍(かんにん)袋はすぐに切れて、きいきいとしてしまう。
その上、臆病(おくびょう)ゆえ、まっすぐものを言えなくて悪態までつく。
我ながら気難しい子だった。(それは今もあまり変わらない)
だから友達は少ない。
そんなわけで私は、大のおばあちゃん子だった。
おばあちゃんは、私にいろいろなことを教えてくれた。
さくら、よもぎ、つくし、大葉、銀杏(ぎんなん)。
農家だったおばあちゃんと花を育て、野菜を作り、近くを散歩するのはとても楽しかった。
夕方になるとおばあちゃんは、西日の当る部屋で作業をしていた。
お手玉、縫い物、編み物、あやとり、そしておりがみ。
たくさんの花を集めて作る「くす玉」や、膨らますと丸くなる「ふうせん」、入れ子の箱。
手先の器用なおばあちゃんは、たっぷり時間をかけ、それらを私に教えてくれた。
友達はいなかったけれど、優しいおばあちゃんといれば寂しくはなかった。
秋になるとおばあちゃんは、落葉樹の葉を掃き集め、たくさんたまると私たち姉妹のために焼き芋を焼いてくれた。
たき火を始めるとき、「かおりちゃん」と私を呼んで、焼き芋をつくるさまざまな手順やコツ、「ぼうぼうと燃える火に入れるのではなく、灰の中に埋めるのだよ」などと教えてくれた。
終われば、「肥料になる」と灰を畑にまいた。
小学生くらいのころ、名古屋市でたき火の煙が近所迷惑になると問題になった。
落葉は「燃えるごみ」として処理され、我が家からたき火の風習は消えた。
(灰は畑の肥料になるのに…)当時の、もやもやとした想いを今も覚えている。
だから私は、オーブントースターで芋を焼く。
子どもが帰る1時間ほど前に、ほおりこんでおけば手軽なおやつに、寒い日には熱で部屋も暖まる。
それも十分おいしいのだけれど、あの庭で焼いた焼き芋がたまらなく懐かしくなる。
【安納芋で焼き芋】
安納芋は、掘り出してからしばらく寝かせると熟成が進み、でんぷんから糖に変わります。
だから、掘りたてのよりも冬を越えた今の方がおいしい。
ジャガイモなど、他の材料と一緒に焼けば、夕食の下ごしらえにもなり一石二鳥。
★安納芋・・・数本
★いろいろな野菜
① 皮が弱いため、やさしく水で洗います。ふんわりアルミホイルで包みます。
② オーブンを180度の余熱なしでセットし、芋を天板に置き60~70分ほど焼きます。
③ 途中、くるくると芋の向きを変えます。
④ 竹ぐしが、すっと通れば出来上がり。
河野香織(かわの・かおり)
国際自然保護連合日本委員会・想いでつなごう!おりがみアクション事務局
日本の伝統文化「おりがみ」を通じ、「愛知ターゲット」と「生物多様性」の大切さを伝え、子どもたちに環境について考えるきっかけづくりをしています。
香織ちゃん ほっこりする 懐かしい 心地よい コラム!お気に入りに入れて、何回も見ています。‟そうそう、そうだった”と思いつつ。
メール頂戴ね。 由美ママより