フェアトレードの普及啓発を進める「世界フェアトレード・デー・なごや2015」が5月9日(土)、中区の名古屋テレビ塔周辺で開かれました。オープニングのステージで河村たかし市長が「名古屋市をフェアトレードタウンにしよみゃあ」と宣言。国際的にフェアトレードの先進都市と認められる「フェアトレードタウン」申請の最後の基準をクリアし、名古屋市が熊本市に続いて日本で2番目の「タウン」となることが確実となりました。
フェアトレードは、主に途上国でつくられるコーヒーやカカオなどの生産者に対し、不当な安値で取り引きをして児童労働や環境破壊を促すことがないよう、公正(フェア)な貿易を進める運動。名古屋では草の根レベルから運動が始まり、6年前からは世界フェアトレード機関(WFTO)が呼び掛ける「世界フェアトレードデー」の5月第2土曜日に合わせて総合イベントを開いてきました。
2年前には行政や企業、大学関係者らを含めたフェアトレード名古屋ネットワーク(FTNN)が発足。「タウン」認定を目指す動きも加速し、日本の認証団体である日本フェアトレード・フォーラム(FTFJ)が定める「人口1万人あたり1店舗以上のショップがある」などの基準を一つ一つクリア。今年3月には名古屋市議会がフェアトレード支持の決議を全会一致で採択。残すは「自治体の首長による公式表明」だけになっていました。
この日のステージで河村市長は「世界は自由貿易で成り立っていると思われているが、それは幻想。生産地に配慮するフェアトレードがなくては自由貿易も成り立たない。日本で最大の貿易黒字を稼ぎだす港を持つ名古屋こそ、フェアトレードタウンにふさわしい」と話し、学生らが「みんなでやろみゃあ!フェアトレード!」とパネルを掲げるのに合わせて、関係者とともにこぶしを突き上げて「公式表明」しました。FTNN代表の原田さとみさんは「多くの皆さんの支えで、ついにこの日が来ました」と感無量の様子でした。
会場を訪れていたFTFJ監事で東京経済大学の渡辺龍也教授によれば、今後は名古屋の正式な申請を受け、認定委員が現地調査を含めて内容を確認、夏ごろまでには決定が出る見通し。フェアトレードタウン運動はイギリスから始まって世界に広がりましたが、認定は各国の機関がそれぞれの基準で決定すればよく、現在は世界で1,600以上の都市が認定されているそうです。認定によって特別な支援がされるわけではなく、渡辺教授は「認定されたことをどう生かすかはそのまち次第。名古屋は高校生など若い人の力が大きく、他のタウンの刺激になるでしょう」と話していました。
この日の会場はトークショーやファッションショーのほか、約50団体がテントを並べるフェアトレード・マルシェなどで終日にぎわっていました。