Risa12月号でお伝えした通り、リフォームした我が家。結露対策が一番の目的でしたが、壁一面の本棚をつくることと、天井にフックをつけることも改造計画の大きなポイントでした。その理由は「本が傍らにある生活を息子にさせたい!(これについてはまたの機会に…)」と「天井からつるしたい!」モノがあったからなんです。
それが、画像のモビール。名古屋発の、紙と糸だけでつくられた「マニュモビールズ」(中川区荒江町2-17、TEL 052-740-3382)の作品です。
モビールとは北欧で古くからある装飾品。「動く彫刻」とも表現され、天井からつるしたり、やじろべえのように卓上に置いたりする、ゆらりと揺れ動くモノのことです。北欧のモビールは金属や木の棒から、糸でモチーフをつるしているのがほとんど。しかし、この棒を紙にすることで日本らしい素材の一体感を出し、全体で物語の世界をつくれないかと考えたのが今井淳二郎さん。マニュモビールズは「日本の手仕事で、空間を面白くしたい!」という思いを熱く抱く今井さんが、ほぼ1人で手掛け始めたプロジェクトなのです。
私は最初、デザインがなんともかわいらしくて思わず買ってしまいました。実際に部屋につるしてみると、風が吹けばふわふわと揺れ、モビールの登場人物たちが楽しそうに動き出すのです。これまではあまり好きじゃなかった西日も、モビールに当たってかわいらしい影をつくってくれます。「自然環境の変化を部屋にいながらにして感じられる!」と感激。そして、「昔から窓を開け、外に縁側を出して内と外を分断せずに生活してきた日本人は、気づかないうちに空間を楽しんできたのでは」「北欧の人よりむしろ日本人のほうがモビールを楽しむ才能に長けているのでは」と思うようになりました。
製作工程は、今井さんがデザインしたデータを色画用紙に落とし込んでカット。3枚の紙を寸分のずれなく、ぴったりと張り合わせて出来上がります。紙と糸というシンプルな構造だけに、少しのずれ、接着剤のはみ出しが製品のレベルを落とし、工作のようになってしまうのだそうです。
その重要な張り合わせの工程は、障害者施設に依頼しています。高度な技術と集中力が必要なため、契約している4施設でそれぞれ1人か2人しかできませんが、仕上がりはほぼ100%完ぺき! 障害のある人の才能を生かし、やりがいと相応の対価を生み出す。これはフェアトレードそのものでもあると、個人的に興奮してしまいました。
常設販売しているのは名古屋三越栄店と星ヶ丘三越の子ども服売り場など。価格は1セット2,980円から3,200円ほど。ウェブサイト(http://www.manumobiles.com/)でイベント情報やオンラインショップもチェックできます。ぜひ、名古屋発の「風」を感じてみてください。
ふかや・りな 岐阜県多治見市出身、名古屋芸術大学声楽科卒業後、1996年から東海ラジオアナウンサー。毎週月〜金16:00〜17:45に「山浦・深谷のヨヂカラ!」を担当。本コラムをラジオでお届けするコーナー「エコヂカラ」は6月29日(水)17:17ごろからの予定!