深谷里奈のエコヂカラ!【第18回】しっとり肌の意外な味方

夏の疲れを感じるのは…お肌! 女性は特にそうですよね。そんなときに欠かせないのは、いいせっけんと化粧水。長良川最上流の山里、緑いっぱいの岐阜県郡上市高鷲町で「いいもの」に出合いました。

東海北陸自動車道、高鷲インターからすぐの山あいに、小さな工房があります。東京でデザインの仕事をしていた上田英津子さんが、2011年11月に地元へ戻って開いた「アトリエキク(TEL 0575-72-6632)」です。

上田さんは当時、東日本大震災もあって「自分という体をつくっている、この地元の素材を生かした丁寧なものづくりをしたい」と、「コールドプロセス」のせっけんづくりを始めました。非加熱製法ともいわれ、せっけんの素材をぐらぐらと鍋で煮立てるのではなく、低温で混ぜあわせ、40日間という長い時間をかけて熟成させる製法。すべて手作業のため、大量生産はできません。手間はかかりますが、素材の成分が生かせるとして最近、見直されています。私も自家製のコールドプロセスせっけんを愛用していました。

こだわりのせっけんづくりに取り組む上田英津子さん(右)。左は薬剤師として工房をサポートする中島しのぶさん
こだわりのせっけんづくりに取り組む上田英津子さん(右)。左は薬剤師として工房をサポートする中島しのぶさん

アトリエキクでは超軟水である郡上の天然水を使い、地元のはちみつや牛乳に天然のオイルを合わせて、さまざまなせっけんをつくっています。「都会で暮らしているとき、実家から送られてくる野菜は新鮮さの保ち具合がスーパーで買う野菜とはぜんぜん違うと感じていました。実際に地元の素材を使ってみて、生きる力の強さを目の当たりにしました」。そんな上田さんは、さらに地元のすごいものに出合います。元文5(1740)年創業の布屋 原(ぬのや はら)酒造場がつくる「花酵母日本酒」。その名の通り、花から採取された酵母で仕込む日本酒です。通常のお酒よりコハク酸、乳酸、リンゴ酸を多く含み、香り高さとともに、お肌の透明感をつくる味方でもあるというのです。これをぜひせっけんに使いたい…でも「江戸時代から続く酒蔵なんて、敷居が高いかな」と、断られる覚悟で訪れた上田さん。ところが酒造場側からは「使って使って」と快く受け入れてもらえました。顔が見える地元ならではの安心感と信頼感。この関係性から生まれる製品が、おのずと誠実なものになるのは想像に難くないですよね。

「花酵母日本酒のせっけん」は日本酒と酒蔵の井戸水、美容オイルでつくられ、「さくら」「菊」「こぶし」の3種類(各700円〜)。花酵母日本酒を30%配合した保湿液もあり、こちらも香り高く、しっとりとして大満足の使い心地です。「これからも地元のよい素材を探してすてきなものをつくりたい」と意気込むアトリエキクの皆さん。販売はインターネット(http://www.atelierkiku.com/)が中心ですが、10月15日(土)、16日(日)に名古屋テレビ塔下で開かれる「ソーシャルタワーマーケット」にも出展するそうです。ぜひのぞいてみてください!

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fukaya_profileふかや・りな 岐阜県多治見市出身、名古屋芸術大学声楽科卒業後、1996年から東海ラジオアナウンサー。毎週月〜金16:00〜17:45に「山浦・深谷のヨヂカラ!」を担当。本コラムをラジオでお届けするコーナー「エコヂカラ」は9月28日(水)17:17ごろからの予定!