花のある暮らし、憧れます。
先日、食事に使う器にさらっと花を生ける、すてきな講座を受けてきました。先生は「hana futaba」の村田伸枝さん。「伸びる枝」なんて、まるで植物を扱うために生まれてきたようなお名前! 器のへりに花をかけたり、葉ランやツバキの葉っぱに穴を開け、切り花の茎を入れて安定させたり。剣山を使わず、植物をうまく使って生ける技に感動しました。さらに「お花を売るんじゃなくて、庭仕事してた方が楽しいのよね〜」と花屋さんらしからぬ発言! ど、どういう人なんだろう? と興味をそそられ、お店に伺ってみました。
代官町にある店には、大きなガラスびんに、花や枝ものがざっくり入れてあります。水〜土曜日の、週4日営業。その他は庭の整備に出ています。以前はもっと営業日が少なかったそうです。
尾西(現在は一宮市)育ちの村田さんは、ブドウやクリがなる自然豊かな環境で育ちました。結婚後、マンション住まいになると、窓からの風景がそっ気ない…と、ベランダ菜園を始めます。しかし、犬の散歩の途中で見かける近所の畑の野菜に比べて、成長がよくない。なぜなんだろうと、ホームセンターの水やりのアルバイトをしながら土の知識を得ていきます。
私なんて、液肥は万能!と思い込んでいたのですが、村田さんによれば液肥は速効性。室内の観葉植物には合うけれど、屋外の植物には緩やかに溶けていく固形肥料の方が合うそうです。さらに大事なのは肥料の3要素。チッソは葉を育てる、リン酸は花や実、カリウムは球根と効き目が違います。葉っぱを育てる液肥をどれだけ与えても、花や実はなりません。しかも時期を見てあげないと、植物が「おなかいっぱい! もう食べられないよー」と死んでしまうのです。
村田さんはその後、フラワーアレンジメントの手伝いもしながら花の専門誌でも勉強、さらに花の教室の主宰者に2年間弟子入りしてから少人数でのレッスンを始めました。そのうちに生徒から庭を見てほしいと頼まれ、念願の庭仕事に出ると隣の家の人からも頼まれ…と不思議なつながりで、ウエディングの装花のデザインや演出も手掛けるようになり、今に至ります。
花を選ぶときは、その人のしたいことをしっかりと聞き取るのが大切だといいます。ほしい花を仕入れたその日に、新鮮なまま届けたい。「花のない花屋にしたいの!」と笑います。お花も料理と同じで、温かいものは温かなうちに食べてほしいですものね。
テーブルに花を飾ろうと思ったら、ごちゃごちゃの中には飾らないはず。整頓して机もふいてから飾ります。花の周りの空間を美しくすることにつながる花。春を迎える季節に、生活を彩る花を飾りましょう。
hana futaba 東区代官町26-2日陶連ビル1階(地下鉄新栄駅または車道駅から徒歩約8分)、TEL 052-870-9613 10:00〜16:00、月、火、日曜休み。
ふかや・りな 岐阜県多治見市出身、名古屋芸術大学声楽科卒業後、1996年から東海ラジオアナウンサーなど。毎週月〜金16:00〜17:45に「山浦・深谷のヨヂカラ!」を担当。本連載をまとめた書籍『エコヂカラ!』(桜山社)が好評販売中です!