深谷里奈のエコヂカラ!【第49回】「ハーバリウム」で広がる世界

ここ数年、大人気の「ハーバリウム」。本来は「植物標本」の意味ですが、最近ではおしゃれなインテリア小物となっています。私の15年来の友人がハーバリウム作家として活躍していることを知り、三重県四日市市まで取材に伺いました。

もともとアパレルの仕事をしていた松本明未さん。結婚・出産を機に退職し、子育てに専念していた2017年に出合ったのがハーバリウム。写真投稿サイト「インスタグラム」で見つけた画像に一目ぼれ! だったそうです。

当時は子どもにかかりっきりの生活で、家族としかしゃべらない毎日。接客業だったのに人と話せなくなった自分のコミュニケーションのリハビリになればと、松本さんは名古屋市で開かれていたハーバリウム教室に通い始めます。

さまざまな素材をハーバリウムに活用する松本明未さん

ハーバリウムはオイルの中にドライフラワーを閉じ込めます。その教室はドライフラワーの卸会社が母体だったため、植物をドライにする方法やオイルの素材、光の屈折率も学ぶ本格的な内容でした。屈折率は物質の中で光がどう進むかを表し、簡単に言うと数字が大きい物質ほど、光がキラキラ反射して見えます。「永遠の輝き!」のダイヤモンドは2.4。ガラスは1.5ぐらい、水は1.3、オイルはその間で1.4。そこでハーバリウムでは「ハーバルデコオイル」という透明なオイルをガラスびんに入れ、キラキラとした輝きを出すのです。

しかし、オイルの中に植物を入れると、植物がプカリと浮いてきてしまいます。それを長いピンセットでうまく配置するのがポイント。バランスを取るためクルミなどの木の実やオレンジを乾燥させたもの、シナモンスティックなどのスパイス、砂、貝殻、造花やメッセージカードを入れることもあります。松本さんはお子さんと一緒に散歩したときに拾った木の実や葉を使うこともあるそうです。

私もお気に入りをゲット!

いただいた花はドライフラワーにして、かわいいガラスびんはきれいに洗って作品に。乾いたドライフラワーに徐々にオイルが浸み込んでいき、透明感が出てくるのも楽しみの一つ。植物の一番美しいときにドライにしたら、その時間がよみがえってくるような喜びがあるそうです。今までは庭に生えるタンポポも「抜かなきゃ」と思っていたのが、タンポポの綿毛でハーバリウムをつくるようになってからは「大きな綿毛になってね!」と成長を願うようになったり、散歩中も植物をしっかり見たりするようになったそう。旅先の思い出を閉じ込めて家族が見える場所に飾ったり、窓辺のハーバリウムでできる影を楽しんだり…。ガラスびんの中に大きな世界が広がっています。

作家として独立した明未さんの作品はインスタグラムで「herbarium_hikari」と検索を。購入するなら、価格は2,000円ぐらいから。名古屋市内での教室なども受け付けています。7月20日(土)には三重県菰野町で開かれる「第6回まんなかマルシェ」に出店予定。個人的には7、8月に開催されるなごや環境大学の「渥美の磯で珍しい生き物を探そう!」で見つけた貝殻を詰め込みたい! 環境大学のガイドブックでハーバリウムの素材探しをするのも楽しそうです。

fukaya_profile深谷さんがパーソナリティーを務める東海ラジオの番組「山浦!深谷!イチヂカラ!」は毎週月〜金の13:00〜16:00オンエア。Risa発行週の火曜日には本連載を紹介する「エコヂカラ!」コーナー(なごや環境大学提供)もあります!