深谷里奈のエコヂカラ!【第50回】あいちの森で自然をデザイン!

団塊ジュニア世代の私の周りでは、親の遺産をどう引継ぐか?が話題となります。お金ならいいんですが(笑)、悩みの種になっているのは土地。しかも山だったりすると大変です。戦後、復興のため木材が必要となり、針葉樹が植林された山は今や手入れが行き届かず、受け継ぐ人がいない山も増えています。対策としては、県単位でいわゆる森林税を設置したり(愛知県でも施行されています)、国も森林環境譲与税を導入したりして森林保全に当てる計画です。

日本は国土の約7割が森林。実は私も祖父の家が恵那に山を持っていて、子どものころはワラビ取りや虫探しを楽しみました。当時は枝打ちや間伐がされていたため、子どもの私も入っていけましたが、今はどうなっていることやら…。

そんな森林の現状を知り、活用する楽しみを生み出していこうという動きがなごや環境大学にも生まれました。その名も「森イキ!デザイニングプロジェクト」。森林での活動で、地域の問題やよさに気づき、森林の持続可能な活用を参加者みんなで考えようというプロジェクトです。

「森イキ!デザイニングプロジェクト」に関わる緒方隆文さん(右から2番目)たちなごや環境大学実行委員のメンバー

主な舞台となるのは奥三河、設楽町の神田(かだ)。かつては林業が盛んな地区でしたが、今は森林も田畑も維持が危ぶまれる限界集落と化しています。

このプロジェクトでは、廃校となった旧設楽町立神田小学校(現・神田ふれあいセンター)を拠点とし、森林から一枚岩の川「板敷き川」に至る小道を参加者みんなでつくります。その小道の周辺をどのようにするのか、今後の森林の活用も参加者のアイデアで決めていきます。ハンモックをかけたり、鳥の巣箱を設置したり、ツリーハウスなんかもあったらすてき!と夢が広がります。子どものころあこがれた秘密基地みたいです。

現地の魅力や森林の現状を知り、実際の山に入ってみてからどんな山にしたいのか、アイデアを出し合う。それも言葉で表現するのではなく、実際の森をイメージしながら箱庭をつくるんです。もちろん、使うのは神田の森林からもらってきた小枝とコケ。

活動の拠点となる設楽町の旧神田小学校

このプロジェクトのタイトルには「デザイニング」という言葉が入っています。自然をデザインする、それを「ing」という進行形で未来につないでいくという思いがこめられているんです。

プログラムの一つ、箱庭プロジェクトの発案者、なごや環境大学実行委員でイベントプランナーの緒方隆文さんは「箱庭に巣箱を設置して、実際の森林にも巣箱を置く。そこに鳥がすんでくれたら、どうですか? 箱庭にも鳥を置きたくなりますよね。箱庭は設計図ですが、森林とつながって進化していくんです」と話してくれました。神田の魅力に触れるのはこれから! 都市生活者だからこそ気づくよさを、どうPRしていくのかも今後に期待する点です。

森イキ!デザイニングプロジェクトは8月3日に始まって半年間、設楽と名古屋を舞台に進行します。参加申し込みはなごや環境大学まで。

fukaya_profile深谷さんがパーソナリティーを務める東海ラジオの番組「山浦!深谷!イチヂカラ!」は毎週月〜金の13:00〜16:00オンエア。Risa発行週の火曜日には本連載を紹介する「エコヂカラ!」コーナー(なごや環境大学提供)もあります!