タコとフグの島「日間賀島」、歴史と漁師町の「篠島」、アートの島「佐久島」—。愛知県は、こうした島についての情報を発信し、多くの人に新たな魅力を感じてもらう「あいちの離島アジト化計画」を進めています。僕はその「わかものサポーターズ」として島に何度も足を運んでいます。
篠島では今年、20年に1度の大きな祭りがありました。「式年遷宮」です。伊勢神宮の社殿を造り替える儀式として有名ですが、実は伊勢神宮の古い木材は篠島へ送られ、島内の神社も同じように建て替えられるのです。
その篠島の「神明神社」の社殿は伊勢神宮の御用材を削り、やや小ぶりになります。でも外から見ると、本当に古い木を使ったのかと思うくらい、すごくきれい。さらに、神明神社の木はまた20年後、「八王子社」という島内の別の神社で使われ、そのまた20年後には境内の小宮などに再利用されます。つまり、伊勢神宮の木材は篠島に渡って60年間も大切にされるのです。このような「リサイクル」が今になっても続いているなんて!
式年遷宮は10月で終わってしまいましたが、年明けには島民全員が参加する大名行列などの伝統行事もあります。普段は島の外に出てしまっている若い人たちも、このときばかりはと戻ってきて、伝統の踊りを披露するそうです。名古屋駅から1時間半ほどで着き、日帰りでも十分楽しめる「あいちの離島」。観光はもちろん、こうした歴史や文化やエコも感じていただければと思います。
みずの・しょうた 1994年生まれ。瑞陵高校(瑞穂区)在学中に国連の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)にボランティア参加。会議後に学生環境団体「NEO」を設立、昨年はESDユネスコ世界会議にも参加するなど、若者の声を世界に発信しています。