深谷里奈のエコヂカラ【第7回】屋上遊園の楽しさはいつまでも

最近のお出かけといえば5歳の息子のお気に入り、デパートのおもちゃ売り場(見るだけ~の約束の上)と「屋上遊園」がお決まりコース。今は少子化の影響か、全国の屋上遊園が減っているとも聞きます。高層ビル化する都心では屋上に出られないというところも。しかし、名古屋・栄は三越と松坂屋、数百㍍しか離れていない近距離に屋上遊園が2つもある全国でも珍しい遊園のホットスポットなのです!

名古屋栄三越の屋上には、登録有形文化財の観覧車(昭和31年製)があり、人は乗れませんが、毎週日曜日に動かすのを見ることができます。

一方、松坂屋名古屋店本館の屋上遊園は、レールの上を走る軌道列車が4つもあり、乗り物が充実しています。どれもピカピカにきれいで、100~200円で自由に乗れる列車は魅力的。毎日の手入れも大変なのでは?と、委託管理している加藤工業の田中国彦さんに話を聞きました。

松坂屋名古屋店の屋上遊園を守り続ける田中国彦さんと童心に返った私!
松坂屋名古屋店の屋上遊園を守り続ける田中国彦さんと童心に返った私!

23年前、屋上遊園で仕事していた田中さん、いったん転職しましたが60歳を超えて今年4月、屋上遊園に帰ってきました。そのとき田中さんの目に映った光景から思ったのは…お客さんを迎える体制じゃない!

まず見た目がきれいでないと、親は子どもを安心して遊ばせることができない、と枕木を替え、列車や柵をきれいに磨き、広い床もきれいにして古い遊具を生まれ変わらせました。現在ある遊具は108台。中でもクレーンゲームが34台もあり、全国的に知られているそうです。初心者マーク付きの取りやすいクレーンもあるので、長野県から毎月通うファンもいるとか。

松坂屋の遊技場の歴史は古く、松坂屋史料室によれば前身の「いとう呉服店」だった明治時代からあり、ブランコなどが設置されていました。大正時代に現在の場所に移転してからはメリーゴーラウンドや子ども汽車、動物園もでき、高度経済成長期の昭和30年代には水族館もあったそうです。

ただし、どの遊具もメンテナンスに手間と費用がかかります。今はテニス場やフットサルコートに変わってしまうことが多いようですが、それだと限られた人しか来ません。遊園なら子どもから親、祖父母、カップルまで、さまざまな世代の人が集えます。「大人になって、自分の子を連れてあいさつに来てくれる人もいます」と田中さんは目を細めます。

この夏の屋上は最高44度まで気温が上昇。20年前に比べて1~2度は上がっているという、地球温暖化を肌で感じる環境だったそうです。ようやく涼しくなり、さらなるメンテナンスに精を出すという田中さん。世代を超えて愛される場所であり続けるのは、人もモノもピカピカに輝いているからなんですね。

屋上遊園は本館8階と連結。営業時間は10:00〜18:00。詳しくは同店(TEL 052-251-1111)へ。

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fukaya_profileふかや・りな 岐阜県多治見市出身、名古屋芸術大学声楽科卒業後、1996年から東海ラジオアナウンサー。昨年10月から毎週月〜金16:00〜17:45に「山浦・深谷のヨヂカラ!」を担当。本コラムをラジオでお届けするコーナー「エコヂカラ」は11月4日(水)17:38ごろからの予定!

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