深谷里奈のエコヂカラ!【第8回】「たね」からつながる自然への思い

 

「シェアシード」って聞いたことありますか? 「シェア」は「分ける」、「シード」は「種」。私はこの夏、海の近くのショップで初めてその言葉に出会いました。
シーカヤックを体験するために訪れた西尾市の寺部海水浴場。その拠点となっているのが海のまん前にある「アイランドサーフ」です。マリンスポーツの道具やナチュラルな洋服、雑貨を扱うお店で、ここで着替えてインストラクターと一緒に海に出るスタート地点。
海を楽しんだあと店内を見ていると、大小さまざまなびんに入れられた小さな種たちがありました。なにかな~と見ていたら、店のお兄さんが「育ててみます~?」と。

アイランドサーフの鈴木さん(左)とシェアシードの棚。ぜひシェアしに来てください!
アイランドサーフの鈴木さん(左)とシェアシードの棚。ぜひシェアしに来てください!

そのお兄さん、店員の鈴木達郎さんが、シェアシードの仕組みを教えてくれました。まず自分が収穫した種を、種の名前や育て方などを描いて「たねBOX」と呼ばれる棚に置きます。この種は無料でもらえます。受け取った人は家庭菜園などで種を育て、うまく種が採種できたら再び「たねBOX」に新しい種を寄付するという、種の循環システム。人と人、種と種がつながり分かち合うことで、地域の自然が豊かにつながるのです。
プロジェクトはハワイから始まってアメリカ全土に広がり、市場やカフェ、図書館などに棚が設置され、種がシェアされています。日本でも地元の伝統野菜に注目が集まる中、在来種や固定種など、遺伝子組み換えされていない種や作物を広げようと、各地のオーガニックカフェなどを中心に広がっているようです。
「誰でも育てられます!」という鈴木さんのオススメで、私もイタリアンパセリをもらってきました。プランターにまいたところ…すぐに芽が出ましたよ! 種がとれるまで大きく育てたら、今度は私の種を誰かに託したいなあ~。
アイランドサーフの隣には石釜ピザの店やカフェもあり、農園の野菜をとれたてで提供しています。通常、流通している農作物は、実や葉を収穫してしまうので、種をとるまで育てることがほとんどありません。だから種のできない品種が開発されているくらいです。鈴木さんたちは自ら農園を手がける中で 種の大切さに気づき、シェアシードを始めたところ、種をきっかけに話が弾むこともあり、意外な広がりを感じているそうです。
大きな海を見ながら潮風に吹かれていただくご飯は絶品。デッキに座るだけで気持ちが開放されていきます。自然と共存するこのお店は、海が荒れればお客さんは来ませんし、冬の時期はマリンスポーツもお休み。そのため店内で服や器の展覧会を催すなど、形を変えて営業します。種のお話をじっくりと聞けるチャンスかもしれませんね。
ハワイから伝わったマリンスポーツと同じく、ハワイからつながるシェアシード。自然のサイクルに自分も参加できる楽しみの仲間に入りませんか? 西尾市寺部町笠外186-36、TEL 0563-62-3033。営業時間は水曜から日曜の11:00〜19:00。
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fukaya_profileふかや・りな 岐阜県多治見市出身、名古屋芸術大学声楽科卒業後、1996年から東海ラジオアナウンサー。昨年10月から毎週月〜金16:00〜17:45に「山浦・深谷のヨヂカラ!」を担当。本コラムをラジオでお届けするコーナー「エコヂカラ」は12月2日(水)17:38ごろからの予定!

 

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